泌尿器系のトラブルは・・・
泌尿器系でのトラブルは、場所が場所だけに恥ずかしいという方も少なくありません。
ただ、単に経過を観察するだけでは、症状が回復しないことがほとんどかと思われます。そこで、このような症状があるときは、以下のような病気が考えられることを下記にて紹介します。心当たりのある方は、勇気を出して速やかにご受診されるようにしてください。
- おしっこに血が混じっている(血尿)
- 炎症(悪性腫瘍、結石、膀胱炎など)もしくは、腎臓の内科的な病気が考えられます。悪性腫瘍であれば、膀胱がん、腎がん、前立腺がん、尿管がん、腎盂がんなどの可能性もあり、尿路結石症の場合も考えられます。このほか、稀に腎臓の血管の奇形により血尿が生じていることもあります。いずれにしても血尿が見つかったら、泌尿器科を速やかに受診されるようにしてください。
- 排尿時に尿道に痛みがあり、ウミが出る
- 性感染症(STD)に感染した可能性が考えられます。とくに男性は、淋病に感染すると尿道から大量の白い膿が出て排尿時に痛みが出ます。また、クラミジア感染症でも淋病ほどではありませんが膿が出て、排尿時に痛みも感じます。女性はこれらに感染しても上記のような自覚症状は出ませんので、発症している男性の方でパートナーの女性がいる場合は、一緒に受診するようにしてください。
- なお、単に排尿時に痛みが出るという場合は、膀胱炎や尿道炎、前立腺炎などがあります。おしっこをし始めた時の痛みであれば尿道炎、終わる間際の痛みであれば膀胱炎の可能性が考えられます。
- 尿が漏れる、もしくは尿失禁がある
- 自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことを尿失禁と言います。
尿失禁は主に4つのタイプに分類されています。その4つとは、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性(いつりゅうせい)尿失禁、機能性尿失禁です。
- お腹に力が入った時に尿が漏れてしまうのが腹圧性尿失禁で、これは女性の約4割が経験しているとも言われ、出産や加齢により骨盤底の筋肉が緩むために起きるものです。切迫性尿失禁は、急に尿がしたくなり、我慢できずに漏らしてしまう状態です。この場合は、脳血管障害などが原因で脳からの排尿コントロールがうまくできない、とくに原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまう神経因性膀胱によるもの、さらに男性であれば前立腺肥大症、女性であれば骨盤臓器脱が原因といったことも考えられます。溢流性尿失禁は、尿を出したいけど出せない、それでも尿が少しずつ漏れ出ているという状態です。この場合は排尿障害を起こす疾患を発症していることが多く、前立腺肥大症の可能性が高いです。
- また、直腸がんや子宮がんの手術後などに膀胱周囲の神経の機能が低下してしまっているときに起きることもあります。機能性尿失禁とは、排尿機能自体は正常ですが、身体運動機能の低下や認知症が原因の尿失禁です。具体的には、認知症が原因でトイレでの排尿できない、歩行障害によりトイレまで間に合わなかったといったことによるものです。この尿失禁の場合は、介護や生活環境の見直しも必要になります。
- いずれかが原因であっても失禁の治療は必要ですので、まずは泌尿器科で検査を受けるようにしてください。
- 排尿をしてもすっきりしない(残尿感がある)
- この場合は、前立腺肥大症でよく見られる膀胱から尿道出口までの通過障害や、排尿時に膀胱がうまく収縮できないといった膀胱収縮障害が考えられます。
- また、膀胱に尿が残っていないのにも関わらず残尿感を感じる場合は、膀胱炎が考えられます。膀胱炎による残尿感とは炎症にともなって起きる膀胱や尿道の知覚異常が原因です。また、慢性前立腺炎を発症している患者様にも、このような残尿感は見られます。
- 排尿症状と発熱がある
- 頻尿、排尿時の痛み、残尿感といった排尿症状があって、さらに発熱の症状があるという場合は、腎臓や前立腺または精巣上体などが細菌に感染していることも考えられ、女性であれば腎盂腎炎、男性であれば前立腺炎を発症している可能性もあります。
- なお、尿路感染を起こしやすいとされる、糖尿病、尿路結石、前立腺肥大症を発症している患者様であれば、重症化することもありますので注意が必要です。
- PSAが高い
- PSAとは、「前立腺特異抗原(Prostate-Specific Antigen)」の略語で、前立腺の上皮細胞から分泌される蛋白のことを言います。これは「腫瘍マーカー」として前立腺がんの診断および治療効果の判定に使用されているものでもあります。
- このPSA検査の結果、PSAの値が高いと判定された場合、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎などを発症していることが考えられます。その中でも気をつけなくてはならないのが、前立腺がんです。前立腺がんが発生していると、がん細胞は多量のPSAを血中に放出します。そしてPSA値は高くなるに従って前立腺生検(前立腺の組織を採取して病理所見を確認する検査)によって、がんが発見される確率が高くなります。なお、一般的にPSAが高い、と言われる基準値は4ng/mLと言われています。