過活動膀胱とは、尿意切迫感が必ずみられる症状で、そのほか頻尿(トイレが近い)や夜間頻尿、切迫性尿失禁といった症状もみられます。日本の場合、40代以上の男女の12%以上の方に過活動膀胱の症状があると言われ、高齢になればなるほど、発病している方の率は高まります。
なお、過活動膀胱でみられる症状の主な内容は次の通りです。
過活動膀胱の原因としては、脳梗塞や脳出血など他の病気で起こる場合、いくつかの原因が複雑に絡み合って特定できないもの、また加齢によるものが考えられます。なかでも加齢の原因が一番多いですが、男性であれば前立腺の肥大、女性であれば膀胱炎、そのほかにも膀胱がんや結石といった病気の可能性もあるので、症状にお困りの方や気になる方は速やかに泌尿器科を受診してください。
症状などから過活動膀胱が疑われる場合は検査を行います。主に腹部エコー検査(残尿量の測定)、血液検査、尿検査などです。これらは比較的簡単な検査です。そのほかにも、尿流測定、パッドテスト、ストレステストなどを行うこともあります。
治療の基本は薬物療法です。抗コリン薬という薬を服用すれば、かなりの割合で効果が期待されます。また、薬物療法以外にも行動療法として膀胱訓練を行い、排尿間隔を広げるようにしていきます。そして尿意切迫感を感じたとしても慌てずに深呼吸し、膀胱の収縮の波が治まったところでトイレに行くようにし、女性であれば骨盤底筋体操も行って堪えるコツをつかむようにしていきます。
R2年3月21日、ラジオ関西「みんなの健康相談」にて過活動膀胱についてお話させていただきました。
当院ではボトックス講習、実技セミナーを修了し、4月より過活動膀胱に対する「ボトックス®」(A型ボツリヌス毒素)膀胱壁内注入療法を開始しました。
A型ボツリヌス毒素を膀胱壁内注射することで筋弛緩作用を示し、過活動膀胱による種々の症状を改善する治療法です。
所要時間は麻酔15分、膀胱壁内注入に5分程度で、通院で治療可能です。
数名の患者様に施行しておりますが重篤な合併症もありません。
膀胱鏡を用い膀胱壁内に薬剤(ボトックス:膀胱壁をゆるめる薬剤)を注射します。
▼実際の膀胱壁内注入の内視鏡画像